漆塗太鼓形酒筒 うるしぬりたいこがたしゅとう 1口

工第2号

       

1.部  門 工芸品
2.所在地 愛荘町松尾寺 金剛輪寺(本堂)
3.所有者 金剛輪寺 代表役員 住職 濱中光礼
4.時  代 室町時代
5.内  容 太鼓形酒器の事例で中世に遡る遺品は、応永23年(1426)の朱漆銘を記す福

        井県鯖江市舟津神社の1口、兵庫県姫路市津田天満神社の嘉吉元年(1441)

        朱漆銘のある1口と室町時代初頭に比定される1口の併せて2口、やはり同時

        期の作とされる岡山県瀬戸内市遍明院の1口、台脚に文明5年(1473)の寄進

        銘を刻した堺市立博物館の1口、それに本品を併せ、現時点では僅か6例ほ

        どを数えるに過ぎない。金剛輪寺伝世の酒筒は注口部を失い一部に損傷がみ

        られるものの、各部の構造、形式や塗法、施文など細部にわたって室町時代

        の紀年銘品と軌を一にしており、ほぼ完好な紀年銘最古の遺品である応永

        23年の舟津神社酒筒と比較する限り、造り付け脚部に材質の違いもあって若

        干頑健さを欠く嫌いはあるが、ほぼ同時期の作とみて大過ないであろう。本品

        が他の酒筒と異なる顕著な特色は、鼓胴木口面の径に比して胴幅が長いこと

        である。通常、時代とともに胴幅が小さくなる傾向のなかでは異例と言わざる

        を得ないが、小振りながらいかにも長大な感じを与える。右三つ巴を中心に連

        珠文と剣先文を周囲に廻らした鼓皮面の意匠も装飾性に富む。巴文や剣巴

        文を描くことは中世酒筒の通例であるが、華麗さでは出色のものと言ってよい。