○愛荘町自治基本条例

平成25年6月7日

条例第20号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 まちづくりの基本原則(第4条―第6条)

第3章 まちづくりの役割分担および協働(第7条―第12条)

第4章 持続的な発展(第13条―第18条)

第5章 情報共有の推進(第19条―第21条)

第6章 町民ならびに事業者等の関与(第22条・第23条)

第7章 町の責務(第24条―第29条)

第8章 地域自治活動(第30条)

第9章 住民投票(第31条)

第10章 他の公共機関との関係(第32条―第34条)

第11章 愛荘町自治基本条例推進委員会(第35条)

第12章 条例の改廃(第36条)

付則

愛荘町は、古くは依智秦氏によって栄え、鈴鹿から流れる伏流水の恵みによって豊かな文化を育んできました。また、後世には中山道の宿場町として発展し、近江上布やびん細工手まりなど優れた技を、今も暮らしの中に受け継いでいます。

このように豊かな自然に恵まれた歴史と伝統のある愛荘町に住む私たちは、平和を愛し、生きる喜びがあふれるまちを築くために、

(一)、豊かな自然と共生し、歴史と伝統を大切にするまちをつくります。

(一)、人権を尊び、やさしさと笑顔があふれるまちをつくります。

(一)、若人が夢を持ち、生き生きと活躍できる元気なまちをつくります。

(一)、働くことに喜びを持ち、うるおいのある豊かなまちをつくります。

(一)、心身をすこやかにし、明るく健全なまちをつくります。

私たちは、この基本理念を共有し、自治の更なる発展のため、ここに愛荘町自治基本条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、愛荘町が自主および自立の理念に基づき、世代を越えて住み続けられる魅力あるまちづくりを推進するための基本的な事項を定めるとともに、町民、事業者等および町の役割、権利ならびに責務等を明確にすることにより地域社会の活力を高め、愛荘町における自治の確立および町民の福祉向上を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 町民 町内に住所を有する者(以下「住民」という。)、町内で働く者および学ぶ者をいう。

(2) 町 愛荘町の議会および執行機関をいう。

(3) 事業者等 次に掲げるものをいう。

 事業者 町内に事業所を有する営利事業を行うものをいう。

 団体等 町内に事務所または活動拠点を有する営利を目的としない組織および団体をいう。

 住民自治組織 町内の特定の地域を対象とする地縁団体および地縁団体に類する地縁組織をいう。

(4) 町民等 町民および事業者等をいう。

(5) 協働 まちづくりに関する役割分担に基づき、町民および事業者等と町が相互補完的に対等な立場で連携および協力をすすめることをいう。

(6) 持続的発展 世代を越えて、良好な環境、健全な地域経済および生き生きした町民の地域的連帯を実現することができる社会の発展のあり方をいう。

(最高規範性)

第3条 この条例は、本町の自治に関する最高規範であり、他の条例や計画等は、この条例の趣旨を十分尊重し、整合性を図らなければならない。また、町民、事業者等および町は、これを誠実に遵守しなければならない。

第2章 まちづくりの基本原則

(町民主権)

第4条 住民は愛荘町の主権者であり、町は住民の信託により都市経営に対し執行責任を負う。

2 町民はまちづくりの主役であり、自主的、主体的にまちづくりを担うものとする。

(役割分担および協働)

第5条 町民、事業者等および町は、まちづくりにおける役割分担を明確にし、相互補完および連携によって協働のまちづくりを推進するとともに、地域全体の意識の向上および人材育成に努めなければならない。

(情報の共有)

第6条 まちづくりに関する情報は、愛荘町の公共的財産であり、町民、事業者等および町において共有されることを原則とする。

第3章 まちづくりの役割分担および協働

(町民の役割)

第7条 町民は、地域社会の諸活動を自ら組織し、事業者等および町と連携しつつ、地域社会の活性化および課題の解決のため、公共的活動を推進するものとする。

(事業者の役割)

第8条 事業者は、地域の経済的活力を高め、地域の雇用の確保に努めるとともに、まちづくりの利害関係者として地域社会の公益に資する資源を提供するものとする。

(団体等および住民自治組織の役割)

第9条 団体等および住民自治組織は、地域社会の公共的活動の主体として、公共的サービスを広く担うことができるものとする。

(町の役割)

第10条 町は、行政によってのみ確実かつ効率的に実施できる事務に限定するよう努め、地域社会全体の円滑かつ効率的な公共的活動に対し必要な支援を行うものとする。

(協働のまちづくり)

第11条 まちづくりには、愛荘町をより良くしたいと考えている者はすべて参加することができる。

2 まちづくりに参加する者は、互いに特性や能力を発揮できるよう尊重しあい、協働のまちづくりを推進するものとする。

(町民と行政との協働推進)

第12条 町は、協働のまちづくりを進めていくために、町民等が自立して活動するための仕組みや協働のルールを整備し、必要な支援に努めるものとする。

2 町は、重要な施策の企画立案、実行、評価の各段階において、適切な協働の手法を整備しなければならない。

第4章 持続的な発展

(人材づくり)

第13条 町は、町民等がまちづくりの主体として活動できるよう、自主的に学び、活動できる環境の整備に努めるものとする。

(子どもの育成)

第14条 町は、保護者、地域住民および関係機関と密接な協力・協働の体制を確保し、子どもが夢と希望を持って未来を担うことができるよう、子どもたちにとって魅力ある教育および生活環境の整備に積極的に取り組まなければならない。

(要援護者など保護・支援が必要な町民の保護)

第15条 町民、事業者等および町は、高齢者および社会的な保護・支援が必要な町民が安心して生活できる環境の整備と人間関係の構築を図り、福祉の充実に努めなければならない。

(自然環境の保護)

第16条 町民、事業者等および町は、豊かで美しい自然といつまでも共存するために、自然環境および景観の保護に努めるものとする。

(歴史と文化の継承と保護)

第17条 町民および町は、先人が残した歴史と文化を尊び、次代へと承継できるよう努めなければならない。

2 事業者等は、町民が地域の歴史と文化を理解し守ろうとする活動を支援するとともに、その責任において文化資産の保護に努めなければならない。

(危機管理)

第18条 町民、事業者等は、危険を回避し、災害に対する準備を行うなど、自らの生命、身体および財産を守るため、日頃から適切な防衛策を行うよう努めなければならない。

2 町民、事業者等は、関係機関や町と協力し、地域住民が安心して生活できるような対策をとるよう努めなければならない。

3 町は、これまでの経験と知識を踏まえ、町民、事業者等の生命、身体および財産を守るため、迅速かつ適切な対応ができる体制を確立するとともに、町民、事業者等の自助努力を支援し、関係機関や町民、事業者等との連携、協力に努めなければならない。

第5章 情報共有の推進

(知る権利)

第19条 町民、事業者等は、町が管理するまちづくりに関する情報を知る権利を有するものとする。

(情報の整備、公開および提供)

第20条 町は、施策の立案から実施、評価に至るまでの過程について、町民、事業者等にわかりやすく説明する責任を有する。

2 町は、町民の知る権利を保障し、町政への参画を促進するため、必要な町政情報を積極的に提供するものとする。

3 町は、町民、事業者等との情報の共有および相互理解を深めるための環境づくりに努めるものとする。

(個人情報の保護)

第21条 町は、町民の自己に関する個人情報の開示、訂正等を請求する権利を保障するとともに、個人情報の保護措置を講じなければならない。

第6章 町民ならびに事業者等の関与

(町民の権利と責務)

第22条 町民は、法令等に定められた権利を有するとともに、町政に関し、情報を知り、参画する権利を有する。

2 町民は、法令等に定められた義務を有するとともに、社会的活動において、自らの行動に責任を持たなければならない。

(事業者等の権利と責務)

第23条 事業者等は、前条の権利と義務を有するほか、地域社会の一員として、事業活動において環境との調和を図り、公益的な活動に協力し、健全な事業活動を行う責務を有する。

第7章 町の責務

(まちづくりの姿勢)

第24条 町は、愛荘町の持続的発展のために適切かつ効率的な運営を推進することにより町民福祉の向上に努めなければならない。

2 町は、まちづくり推進にあたり、自立した町運営の理念のもとに、健全な財政運営と計画的な事業の実施に努めなければならない。

3 町は、町民、団体等および住民自治組織の運営に関し、発展に寄与する施策を講じるとともに、その自主性および自立性を損なう恐れのある介入または関与をしてはならない。

4 町は、町民、団体等および住民自治組織の活動がまちづくりに有意義であると認定したときは、法人と同等の支援をするものとする。

(倫理規範の確立)

第25条 町は、町民の信頼に応え、法令等を順守し、運用しなければならない。

2 町は、違法な手段による要求、公平性を損なう不当な要求に応じてはならない。また、その旨の要求があった場合は、組織として対応しなければならない。

3 町職員は、議員もしくは上司から職務上明らかに違法または不当な要求を受けたと判断したときは、その命令・指示に従ってはならない。

(議会の責務)

第26条 議会は町民の意思が町政に適切に反映され、健全な町政運営が行われるよう、努めなければならない。

2 議会は、町民活動を活性化するため、その活動内容をすべて公開しなければならない。

(議員の責務)

第27条 議員は、住民の代表機関である議会の構成員として自己研鑽に努め、常に町民全体の利益のために行動しなければならない。

2 議員は不当な要求があった場合、その要求に従ってはならない。

(町長の責務)

第28条 町長は、愛荘町の代表者として主権者である町民の厳粛な信託に応え、この条例にのっとり、公正かつ誠実に町政運営にあたり、持続的発展を推進しなければならない。

2 町長は議会との適切な関係の構築により、円滑な町政の推進に努めなければならない。

(町職員の責務と権利)

第29条 町職員は、この条例に基づき公益のために誠実に職責を果たし、効率的な職務の執行に努めなければならない。

2 町職員は、職務の遂行に必要な能力を開発し、自己啓発に努め、またそのために必要な支援を受けることができる。

第8章 地域自治活動

(町民組織)

第30条 町民は、地域社会における良好な自然的、社会的および歴史的環境の維持および増進のための共同活動を行う組織をつくり、その運営の支援を受けることができる。

第9章 住民投票

(住民投票制度)

第31条 町は、住民投票制度を設けることとする。

2 町民、議会および町長は、住民投票の発議をすることができる。

3 町民、議会および町長は、住民投票で示された住民の意思を尊重しなければならない。

第10章 他の公共機関との関係

(他の地方公共団体等との関係)

第32条 町は、愛荘町の公益を増進させるために、他の地方公共団体等との広域的連携および協調を図り、まちづくりを推進するものとする。

(国および関連機関との関係)

第33条 町は、地方自治の本旨に基づき、かつ国との適切な役割分担の原則にのっとり、国およびその関連機関との適切な連携および協力するものとする。

(国際社会との関係)

第34条 町は、国際社会における諸原則および国際的合意ならびに国際機関の活動に配慮しつつ、国際社会における活動を通じて町民福祉の向上と地域社会の発展を図るように努めるものとする。

第11章 愛荘町自治基本条例推進委員会

(愛荘町自治基本条例推進委員会の設置等)

第35条 町長は、この条例の実効性を高め、町民等および町による推進体制を確保するため、愛荘町自治基本条例推進委員会(以下「推進委員会」という。)を設置する。

2 推進委員会は、この条例に基づく政策の制度化、事業の改善およびまちづくり体制の整備等の運営状況を定期的に検証評価し、改善点を指摘し、社会情勢に適合した運営となるよう是正等を求めることができる。

3 推進委員会は、この条例の運用に係る町民等および関係者の意見聴取等の調査を実施し、町長に意見書を提出することができる。

4 推進委員会は、この条例の改正または廃止に関する諮問に対して審議を行い、町長に答申を提出することができる。ただし、軽微な変更については、この限りでない。

第12章 条例の改廃

(条例の改廃)

第36条 町長は、この条例を改正または廃止する場合には、推進委員会に意見を求め、住民投票において、その過半数の賛成を得なければならない。

この条例は、平成25年7月1日から施行する。

愛荘町自治基本条例

平成25年6月7日 条例第20号

(平成25年7月1日施行)

体系情報
第1編 規/第1章 町制施行
沿革情報
平成25年6月7日 条例第20号