○障がいを理由とする差別の解消の推進に関する愛荘町立学校教職員対応要領

平成28年2月22日

教育委員会訓令第2号

(目的)

第1条 この要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第10条第1項に基づき、本町立の学校・園の教職員(町費講師・非常勤職員を含む。以下「教職員」という。)による障がい者に対する差別解消の取組を実効性あるものとするために必要な事項を定めるものとする。

(用語)

第2条 「障がい者」とは、身体障がい・知的障がい・精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」という。)のある人で、障がいと社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

「社会的障壁」とは、障がい者にとって、日常生活や社会生活を送る上で障壁となるような、社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第3条 教職員は、その事務または事業を行うに当たり、障がいを理由として障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。これに当たり、教職員は、別表の第1から第3までおよび第7に定める事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)

第4条 教職員は、その事務または事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢および障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり、教職員は、別表の第4から第7までに定める事項に留意するものとする。

(校長・園長の責務)

第5条 校長・園長は、第3条第4条に定める事項に関し、障がいを理由とする差別の解消を推進するため、次に掲げる事項を実施しなければならない。

(1) 日常の執務を通じた指導により、その監督する教職員の注意を喚起し、障がいを理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障がい者およびその家族その他の関係者(以下「障がい者等」という。)から教職員による不当な差別的取扱いまたは教職員の合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等(以下「教職員による障がいを理由とする差別に関する相談等」という。)があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(3) 合理的配慮の提供の必要性が確認された場合は、監督する教職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 校長・園長は、障がいを理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。

(懲戒処分等)

第6条 教職員は、障がい者に対し不当な差別的取扱いをした場合または過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮を提供しなかった場合にあって、これらを是正するため当該教職員の監督者が行った指示指導に従わず、なお態度を改めないときは、職務上の義務に違反し、または職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分等に付されることがある。

(相談体制の整備)

第7条 障がい者等からの教職員による障がいを理由とする差別に関する相談等に的確に対応するため、教育振興課、子育て世代包括支援センターおよび各学校園に相談窓口を置き、窓口担当者を決めておく。

2 窓口担当者は、教職員による障がいを理由とする差別に関する相談等を受ける場合は、性別、年齢、障がいの状態等に配慮するとともに、対面、電話、ファクシミリおよび電子メールに加え、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用いて対応するものとする。

3 第1項の相談窓口担当者は、障がい者等から教職員による障がいを理由とする差別に関する相談等の内容となる事実の詳細その他必要な情報を聴取する等必要な確認をした上で、該当する教職員が所属する校長・園長に報告するものとする。該当する学校園の校長・園長は、対処する必要があると認めるときは、速やかに是正措置および再発防止策等を採るものとする。

(研修および啓発)

第8条 教育振興課は、障がいを理由とする差別の解消の推進を図るため、教職員に対し、必要な研修および啓発を行うものとする。

2 教育振興課は、新たに教職員となった者に対しては、障がいを理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、また、新たに校長・園長となった者に対しては、障がいを理由とする差別の解消に関し求められる役割について理解させるために、それぞれ、研修を実施するものとする。

3 教育振興課は、第1項の啓発を行うに当たっては、教職員が障がいの特性を理解するとともに、障がい者に適切に対応するために、マニュアル等の活用により、意識の啓発を図るものとする。

この要領は、平成28年4月1日から施行する。

(令和2年4月1日教育委員会訓令第1号)

この訓令は、令和2年4月1日から施行する。

別表(第3条、第4条関係)

第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

法は、障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否することまたはこれらの提供に当って場所・時間帯などを制限すること、障がい者でない者に対しては付さない条件を付けること等により、障がい者の権利利益を侵害することを禁止している。ただし、障がい者の事実上の平等を促進し、または達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障がい者を障がい者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)をすること、法に規定された障がい者に対する合理的配慮の提供による障がい者でない者と異なる取扱いをすることおよび合理的配慮を提供する等のために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障がい者に障がいの状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

このように、不当な差別的取扱いとは、問題となる事務または事業について、本質的に関係する諸事情が同じであるにもかかわらず、正当な理由なく、障がい者を障がい者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

第2 正当な理由の判断の視点

正当な理由に相当するのは、障がい者に対して、障がいを理由として、財・サービスまたは各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないといえる場合である。教職員は、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障がい者および第三者の権利利益(安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)、事務または事業の目的、内容および機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。また、教職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

第3 不当な差別的取扱いの具体例

不当な差別的取扱いに当たり得るまたは当たらない具体例は、付表第1のとおりである。なお、第2で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、同表の具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、これらはあくまでも例示であり、具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

第4 合理的配慮の基本的な考え方

1 障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号。以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権および基本的自由を享有し、または行使することを確保するための必要かつ適当な変更および調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失したまたは過度の負担を課さないもの」と定義されている。

法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、町に対し、その事務または事業を行うに当たり、個々の場面において、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を提供することを求めている。合理的配慮は、障がい者が受ける制限は、障がいのみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、障がい者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。

合理的配慮は、事務または事業の目的、内容および機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障がい者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、ならびに事務または事業の目的、内容および機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。

2 合理的配慮は、障がいの特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段および方法について、第5に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。また、合理的配慮の提供に当っては、障がい者の性別・年齢・状態等に配慮するものとする。

なお、合理的配慮を必要とする障がい者が多数見込まれる場合、障がい者との関係性が長期にわたる場合等にあっては、その都度の合理的配慮とは別に、4の環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減および効率化につながる点は重要である。

3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振り、サイン等による合図、触覚による意思伝達等、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる点に留意する必要がある。

また、障がい者からの意思の表明のみでなく、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)等により本人の意思の表明が困難な場合には、障がい者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障がい者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合等、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障がい者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

4 合理的配慮は、障がい者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障がい者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障がいの状態等が変化することもあるため、特に、障がい者との関係性が長期にわたる場合等にあっては、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。

5 学校がその事務または事業の一環として実施する業務を事業者に委託等をする場合にあっては、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障がい者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、この要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。

第5 過重な負担の基本的な考え方

過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、次の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。教職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障がい者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

(1) 事務または事業への影響の程度(事務または事業の目的、内容または機能を損なうか否か)

(2) 物理的・技術的制約、人的なまたは体制上の制約等を考慮した実現可能性の程度

(3) 費用・負担の程度

第6 合理的配慮の具体例

第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、合理的配慮に当たり得る配慮の具体例は、付表第2のとおりである。なお、同表の具体例については、第5で示した考え方による過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

第7 障がい特性に応じた対応等について

障がい者と接する際には、それぞれの障がい特性に応じた対応が求められる。

このほか、障がいのある幼児、児童および生徒(以下「児童生徒等」という。)については、成人の障がい者とは異なる支援の必要性がある。児童生徒等は、成長および発達の途上にあり、乳幼児期の段階から個々の児童生徒等の発達の段階に応じて一人一人の個性と能力に応じた丁寧に配慮された支援を行う発達支援が必要である。また、子どもを養育する家族を含めた丁寧なかつ早い段階からの家族支援が必要である。特に、保護者が児童生徒等の障がいを知った時の気持ちを出発点とし、安心と希望をもって子育てができるように、十分な配慮と支援が必要である。

また、医療的ケアを要する障がいのある児童生徒等については、配慮を要する程度に個人差があることに留意し、医療機関等と連携を図りながら、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、適切な支援を行うことが必要である。

他にも、障がい者が女性または外国人である場合には、障がいに加えて女性や外国人であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があるため、配慮が必要である。

付表第1

1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例





1 障がいを理由に窓口対応を拒否する。

2 障がいを理由に対応の順序を後回しにする。

3 障がいを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。

4 障がいを理由に説明会等への出席を拒む。

5 特に必要ではないにもかかわらず、障がいを理由に、来校の際に付添い者の同行を求めるなどの条件を付け、または特に支障がないにもかかわらず、付添い者の同行を拒む。

6 障がいを理由に、学校への入学、授業等の受講、実習、修学旅行等の校外教育活動への参加、式典参加を拒み、またはこれらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付す。

7 障がいを理由に学校の施設等の利用を拒否する。

8 試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外し、または評価において差を付ける。


2 不当な差別的取扱いに当たらない具体例





1 学校において、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障がい者に障がいの状況を確認する。

2 障がいのある児童生徒等のため、特別の教育課程を編成する。


付表第2 合理的配慮に当たり得る配慮の具体例

1 物理的環境への配慮の具体例





1 段差がある場合に、車椅子利用者に対し、キャスター上げ等の補助をする。携帯スロープがある施設では必要に応じて携帯スロープを渡す。

2 配架棚の高い所に置かれた図書、パンフレット等を取って渡す。図書、パンフレット等の位置を分かりやすく伝える。

3 目的の場所までの案内の際に、障がい者の歩行速度に合わせた速度で歩く。前後・左右・距離の位置取りについて、障がい者の希望を聞く。

4 障がいの特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、教室等の座席位置を扉付近にする。

5 車椅子を配置している施設では必要に応じて利用を案内する。

6 多目的トイレが設置されている施設では必要に応じて案内する。

7 疲労を感じやすい障がい者から別室での休憩の申出があった場合で、別室の確保が困難であるときは、当該障がい者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける等の対応をする。

8 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障がい者に対し、教職員が書類を押さえ、またはバインダー等の固定器具を提供する。

9 災害や事故が発生した際、校内放送等で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障がい者に対し、災害時に教職員が直接災害を知らせる。電光掲示板、手書きのボード等、視覚的に受容することができる警報設備等を用いて、分かりやすく案内し、誘導を図る。

10 移動に困難のある児童生徒等のために、保護者等が送迎するための駐車場を確保する。参加する授業で使用する教室をアクセスしやすい場所に変更する。

11 聴覚過敏の児童生徒等のために教室の机および椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な児童生徒等のために黒板周りの掲示物等の情報量を減らすなど、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を変更する。

12 知的障がいのある児童生徒等に対し、図や写真を用いた日課表、活動予定表等を活用し、自主的に判断し、見通しをもって活動できるようにする。

13 介助等を行う保護者、支援員等の教室への入室、授業や試験でのパソコンの入力の支援、移動の支援および待合室での待機を許可する。


2 意思疎通の配慮の具体例





1 筆談、読み上げ、手話、身振り、口話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いる。なお、筆談をする際には、簡潔な言葉を使う、二重否定表現など難しい言い回しは避ける、携帯電話画面の利用など読みやすい文字を使うといった点に留意する。

2 資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

3 視覚障がい者に資料等を事前送付する際は、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。

4 情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明資料や、拡大コピー、拡大文字または点字を用いた資料、遠くのものや動きの速いものなど触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手の平に文字を書いて伝える等)または知的障がいに配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る等)を行う。

5 障がいのある児童生徒等に対し、絵や写真カード、コミュニケーションボード、タブレット端末等の情報通信技術を活用した機器の活用、視覚的に伝えるための情報の文字化、質問内容を「はい」または「いいえ」で端的に答えられるようにすることなどにより意思を確認したり、本人の自己選択および自己決定を支援したりする。

6 学校内で通常、口頭で行う案内を、紙にメモして渡す。

7 書類記入の依頼時またはノート等に書き取りをする際に、記入方法等を本人の目の前で示し、または分かりやすい記述で伝達する。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。

8 知的障がいのある児童生徒等に対し、抽象的な言葉ではなく、具体的な言葉を使う。例えば、教育活動に取り組む際の「仮説」や「考察」など学習上必要な言葉等の意味を具体的に説明して、理解を確認する。

9 比喩表現等が苦手な障がい者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現等を用いずに具体的に説明する。

10 障がい者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。

11 病気のため移動範囲や活動量が制限されている児童生徒等に対し、情報通信技術等を活用し、間接的な体験や他の人とのコミュニケーションの機会を提供する。

12 見えにくさのある児童生徒等については、弱視レンズ等を活用するよう促す。

13 聞こえにくさのある児童生徒等については、補聴器等を活用するよう促す。

14 事務手続の際に、教職員が必要書類の代筆をする。

15 授業等の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚または聴覚に障がいのある者や知的障がいを持つ者に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心掛けるなどの配慮を行う。

16 授業等の進行に当たっては、教職員が障がい者の特性に合ったサポートをする等の配慮を行う。


3 ルール・慣行の柔軟な変更の具体例





1 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続の順番を入れ替える。

2 障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。

3 板書、スクリーン、手話通訳者等がよく見えるように、黒板等に近い席を確保する。

4 車両乗降場所を校舎等の出入口に近い場所へ変更する。

5 移動に困難のある障害者を早めに入場させ席に誘導する。車椅子を使用する障害者の希望に応じて、決められた車椅子用以外の客席も使用できるようにする。

6 障害者の来校が多数見込まれる場合は、敷地内の駐車場等において、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。

7 他人との接触または多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合は、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。

8 聞こえにくさのある児童生徒等に対し、外国語のリスニングの際に、音質・音量を調整したり、文字による代替問題を用意したりする。

9 試験等において、本人または保護者の希望、障がいの状況等を踏まえ、別室での受験、試験時間の延長、点字、拡大文字または音声読み上げ機器の使用等を許可する。

10 授業で使用する教科書や資料および問題文を点訳したもの、拡大したものまたはテキストデータを事前に渡す。

11 知的発達の遅れにより学習内容の習得が困難な児童生徒等に対し、理解の程度に応じて、視覚的に分かりやすい教材を用意する。

12 肢体不自由のある児童生徒等に対し、体育の授業の際に、上・下肢の機能に応じてボールの大きさや投げる距離を変えたり、走る距離を短くしたり、スポーツ用車椅子の使用を許可したりする。

13 日常的に医療的ケアを要する児童生徒等に対し、本人が対応可能な場合もあることなどを含め、配慮を要する程度には個人差があることに留意して、医療機関や介助者等と連携を図り、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにする。

14 慢性的な病気等のために他の児童生徒等と同じように運動できない児童生徒等に対し、運動量を軽減する、代替となる運動を用意するなど、病気等の特性を理解し、過度に予防または排除をすることなく、参加するための工夫をする。

15 治療等のため学習できない時間が生じる児童生徒等に対し、補講を行うなど、学習機会を確保する。

16 読み・書き等に困難のある児童生徒等のために、授業や試験でのタブレット端末等の情報通信技術を活用した機器の使用を許可する。筆記に代えて口頭試問による学習評価を行う。

17 発達障がい等のため、人前での発表が困難な児童生徒等に対し、代替措置としてレポートを課す。発表を録画したもので学習評価を行う。

18 学校生活全般において、適切な対人関係の形成に困難がある児童生徒等のために、能動的な学習活動等においてグループを編成するときには、事前に伝え、場合によっては本人の意向を確認する。また、こだわりのある児童生徒等のために、話合いや発表等の場面において、意思を伝えることに時間を要する場合があることを考慮して、時間を十分に確保し、または個別に対応する。

19 実験、実習などにおいてグループワークができない児童生徒等や、実験の手順の誤りや試薬を混同するなど、作業に危険を伴う可能性がある児童生徒等に対し、個別の実験時間や実習課題を設定したり、個別のティーチング・アシスタント等を付けたりする。



障がいを理由とする差別の解消の推進に関する愛荘町立学校教職員対応要領

平成28年2月22日 教育委員会訓令第2号

(令和2年4月1日施行)