漆塗太鼓形酒筒

更新日:2019年12月25日

漆塗太鼓形酒筒の写真

工第2号

1.部門

工芸品

2.所在地

愛荘町松尾寺 金剛輪寺(本堂)

3.所有者

金剛輪寺 代表役員 住職 濱中 光礼

4.時代

室町時代

5.内容

太鼓形酒器の事例で中世に遡る遺品は、応永23年(1426)の朱漆銘を記す福井県鯖江市舟津神社の1口、兵庫県姫路市津田天満神社の嘉吉元年(1441)朱漆銘のある1口と室町時代初頭に比定される1口の併せて2口、やはり同時期の作とされる岡山県瀬戸内市遍明院の1口、台脚に文明5年(1473)の寄進銘を刻した堺市立博物館の1口、それに本品を併せ、現時点では僅か6例ほどを数えるに過ぎない。金剛輪寺伝世の酒筒は注口部を失い一部に損傷がみられるものの、各部の構造、形式や塗法、施文など細部にわたって室町時代の紀年銘品と軌を一にしており、ほぼ完好な紀年銘最古の遺品である応永23年の舟津神社酒筒と比較する限り、造り付け脚部に材質の違いもあって若干頑健さを欠く嫌いはあるが、ほぼ同時期の作とみて大過ないであろう。本品が他の酒筒と異なる顕著な特色は、鼓胴木口面の径に比して胴幅が長いことである。通常、時代とともに胴幅が小さくなる傾向のなかでは異例と言わざるを得ないが、小振りながらいかにも長大な感じを与える。右三つ巴を中心に連珠文と剣先文を周囲に廻らした鼓皮面の意匠も装飾性に富む。巴文や剣巴文を描くことは中世酒筒の通例であるが、華麗さでは出色のものと言ってよい。

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