木造聖観音立像(金剛輪寺)

更新日:2019年12月25日

木造聖観音立像の全体写真

彫第6号 

1.部門

彫刻

2.所在地

愛荘町松尾寺 金剛輪寺(本堂)

3.所有者

金剛輪寺 代表役員 住職 濱中 光礼

4.時代

平安時代

木造聖観音立像の顔部分を撮った写真

5.内容

本像は、本尊の厨子内に秘仏として安置されている代用壇材風の聖観音像。本尊のいわゆる「お前立ち」との伝承もあるが、詳細は不明である。頭体幹部をカヤ材かとみられる1材製とし内刳りせず、素地のままで仕上げている。両肩以下などを別材製とし、後補される部位も認められるものの、総じて保存状態は良い。左手に未敷蓮華を執り、右手でそれに添える形をとるが、本尊像や金剛輪寺旧蔵(現ボストン美術館蔵)の銅造聖観音坐像、そして近在の仏心寺所有の聖観音立像など、いずれも同様の形となる。これは、胎蔵曼荼羅蓮華部院に坐像として表される形に近く、立像の形としては比叡山横川中堂の本尊像が有名である。12世紀以降に横川系の天台勢力がこの地域に進出したとことが推測されよう。本像は、低平な螺髪を結い、正面に冠を彫出し、面幅の広い個性的な顔立ちになる。あるいは、古像に準拠した可能性も認められようが、制作自体は、彫出の明快さが顕著となる衣文表現などからして、12世紀も末の作と考えられる。

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